星槎-東北大・米山・川渡木星銀河電波観測所・遠隔見学
Seisa Kawatabi-Antenna
Kawatabi Monitor
Yoneyama Monitor
観測データ.縦軸周波数,横軸時刻,色は受信強度を示しています.
HF帯:木星・銀河中心を地上から探査できる電波の窓
木星の北極・南極の電離圏からは木星デカメータ電波と呼ばれる電波が放射されています.この電波は, イオ衛星の火山ガスを起源とする電離ガス(プラズマ)を伴って高速回転する木星磁気圏,その中を低速で公転するイオ衛星が,木星電離圏との間に磁力線を介した電流回路を形成して,加速電子を生じることによって放射されています.上限周波数は木星電離圏で電子が磁場に沿ってらせん運動する周期によって決まって約40MHzです.一方,地球の大気上層にも電離圏が形成されていて,宇宙空間から到来する電波のうち20MHz以上の電波のみが電離圏を透過して地上で観測できます.したがって20〜40MHzの周波数帯(HF帯)は「木星電離圏・磁気圏を地上から探査できる電波の窓」であると言えます.
運用中の観測システム (2021.4)
米山観測局
ログペリアンテナ・八木アンテナ・プリアンプ
長基線干渉計受信機 (21.86MH, Sampling: 1kHz)※1
広帯域スペクトル受信機(15-40MHz, Interval:0.5s)※2
川渡観測所
ログペリアンテナ・八木アンテナ・プリアンプ
長基線干渉計受信機 (21.86MH, Sampling: 1kHz)※1
広帯域スペクトル受信機(15-40MHz, Interval:0.5s)※2
※1:長基線干渉計受信機
PPARC所属の2局(飯館,蔵王)と宇宙地球電磁気学分野所属の2局(米山・川渡)の受信機を組み合わせて100km基線干渉計を構成しています.HF帯アンテナで検出された21.86MHz付近の木星電波・銀河電波の電場1成分(右旋偏波)の波形を1kHz以下の帯域に周波数変換してテレメータで仙台に伝送し,相関処理を行っています.最初の干渉計アンテナは1974年に蔵王に設置され,その後, 川渡(1981年), 米山(1985年), 飯舘(1992年)にアンテナが設置されました.現在は主に、銀河中心ブラックホールから到来する電波の観測に利用されています.
※2:広帯域スペクトル受信機
HF帯アンテナで検出された15-45MHzの木星電波・太陽電波のスペクトルを24時間0.5秒毎に記録しています.木星電波・太陽電波のスペクトルから,放射源となっている加速電子のエネルギを推定することができます.ハードウェアを更新しながら、2017年代から継続的に運用されています.
保守記録
米山局
/
川渡局
参考
川渡局データ確認
飯舘局データ確認